インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice)


インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice)
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人間が扱うハイテクノロジー
とにかくネット関連のアジ本には筆者のオツムを疑うような内容のものが多いのだが、これは数少ない良書である。

今このレビューを見ている9割の方々は、ブラウザを介しパソコンのディスプレイとにらめっこしているのだと思うが、おそらく10年後にはもうこのライフスタイルは「古いもの」になっている。
iphoneのような小型端末がどんどん進化すれば、狭義の意味での大仰な「パソコン」は居場所を無くすであろう。なぜなら、今パソコンでやれるようなことが全て携帯電話サイズで可能になるであろうからだ。

世紀というのは、有史以前?以来まで紡がれてきた各地の文化をグローバル化させ、極限まで洗練させた時代だった。
つまり、「何もないところ」から人間が創造したものは、もう大半が洗練され切ったと言えなくもない。
儀式は物語となり演劇となり、映画となった。ハリウッドの大迫力CGシネマは、その本質は原人の儀式と変わりがない。カタルシスを得る箇所が同じだと言うことだ。

世紀はネットワークによってそれをさらに推しすすめつつ、次代へ繋がる新たな「創造」を「発見する」ための時代であるはず「だった」。というのが、この本の概観である。


良くも悪くも米国自由主義に右往左往・・・
米国はコンピュータやインターネットを生みだし、先駆者としてのアドバンテージを駆使しながら自由競争資本主義をひた走りして金融工学を生み出し、そして突如破綻した。金融の破綻で世界中の経済が混乱してもコンピュータやインターネットの責任までは話が及ばない。しかしそこにある自由競争主義の思想は共通するもので、その恩恵にあずかる者はそのことに気づかないが、この本を読む限り「自由」の旗印を高らかと掲げて先頭をひた走ることだけを願っている米国病とも言える自由原理主義が背景に感じ取れる。その自由原理主義者にとっては、その地平上にアプライアンス と呼ぶ異質な境界が出現したことはゆゆしき出来事のようだ。
本来のインターネットの肥沃な地平とアプライアンスの境界をSDKによってブリッジしていくiPhone のコンセプトは、肥沃な大地に終始していたこれまでのインターネットから、ひらりと空中に舞い上がり大空を舞台にしていこうとするエレガンスなビジネスの未来を感じる。そこには従来の地上とは異なる未来感があるのだが、その未来感覚そのものが自由競争原理主義の麻薬性に寄って立っていることでもあり、そんな俯瞰をしてみるための書籍としてこの「インターネットが死ぬ日」だけでなく、他のハヤカワ新書を読んでみるのも悪くはないと思う。

インターネットを殺さないために
早川書房が新しく出した新書シリーズの第2弾。他の本は読んでないけど、これは面白そうなので読んでみたが、想像以上に面白かった。

最初の方は、主にインターネットの歴史が書かれている。パソコンとインターネットという技術の持つ特性が、いかに新しい価値を生み出してきたか、という視点で描かれている。この点に関しては、まったく異論はない。
インターネットというプロトコル以外にはあまり規制のない技術とユーザ側が自由にソフトウェアをインストールすることでいろいろなことができるようになるパソコンの両方が存在して、初めて今のようなインターネット社会が到来した。

続いて、現在の問題点、すなわち今やSPAMメールやウィルス問題、著作権やプライバシー問題によって、自由なネット環境が制限されようとしていることによる「生み出す力」の喪失が問題提起されている。
確かに、著者の言うとおり、規制をかけることによって安全性は高まるが何か新しいものを「生み出す力」、リッチなネット社会は遠くなりそうだ。

でも、今の日本でそんなリッチなネット社会は求められているのかな。ほとんどの人はネットにつなげる時代になったけど、学生とかパソコンよりも携帯電話でネットやメールをしているのが現実。コンテンツの充実にこそ関心はあれ、「ネットの自由」ということにはあまり関心がないのではないか。「生み出す力」のもとである「ネットの自由」を必要としているのはごく一部の人だけなのかもしれない。

むしろ、それが問題か。これからのネット社会を豊かなものにするためにも、ネットの規制のあり方は真剣に考えるべきだろう。
しかし、日本ではこういう議論は少ないなぁ。子どもにケータイを持たせないとかしか、思いつかないのだろうか。


必然を冷静に見据え、なんとかやっていくために
技術が進歩しどんどん普及していくと、為政者や企業権力はかんたんに検閲できるようになるし、遠隔操作による法の執行もたやすくなる。著者のジットレインはこういう状況にたいして、必要な規制と創造性の自由を両立させようと頑張っているのだと思う。

iPhoneに開発環境があるかないかはどうでもよくて、メーカーがアプリケーションを検閲したり、配布を妨げたり、使い道を定めたりできることが問題なのであって、そこに気付かずにトレンドに流されてのみ生きている人は、実に平和でいいなあと思う。でもiPhoneほしい。

自由と管理の間で
自由と管理との間にある大きな“振幅”を見つめながらインターネットの未来像を描こうとする意欲作。

今目の前にあるiPhoneではなく、いにしえの国勢調査マシーンやインターネット以前のオンラインサービスなどを参照しながら、社会的イノベーションの生態系を透視する本作の試みは、単なる商業主義対ボランタリーという対立軸ではない奥行きのある洞察を与えてくれる。

インターネットアプライアンスとしてのネットブックやモバイルデバイスを経済性や効率性だけで捉える事の限界に気付かしてくれる。社会的プラットフォームとしてのウェブがどのように自己変革していけるのか?への問い掛けは改めて新鮮な気持ちでネットの将来を考える機会に繋がると思う。









インターネットが死ぬ日 (ハヤカワ新書juice)

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